1997年 AGFA HYPER AWARD CONTEST
AGFA PUBLISHING AWARD受賞
常に最新の情報と自由なテーマが選べる個人注文出版システム
こうならなければイケナイ!

新しいデジタル技術と
長年親しんできた印刷出版物の両方の長所を融合した
明日の出版界のための提案



インターネットで満足か

インターネットのWWWに膨大な情報量があるように騒がれているが、誰でも自由に情報を発信できるため、その内容は玉石混交で、デマや噂など信頼性に乏しい情報も多いのが欠点だ。
長年の実績で信頼の厚い、既存の雑誌や新聞もWWW上でインターネット版を発行するようにはなったが、これまでの印刷出版物から比べると不満が多くある。

・速報性は素晴しいが、無料なので情報量も少なく、あくまでも自社出版物の宣伝程度でしかない。
・気楽に持ち運んだり、寝床で読んだりできない。
・文章を長時間パソコン画面で読むのは疲れる。
・プリントしてから読めば少しはましになるが、高品位・両面印刷・製本・読みやすい文字組版・スピードなどを、個人用プリンタでは満たせない。
・電源、ハードウエアが無ければ、どうにもならない。

現在の印刷出版物にも沢山の不満がある…

・読みたい本が書店に在庫していない! 注文してもかなり時間が掛かる。
・絶版になれば、読者はどうすることも出来ない。
・雑誌などは売り切れてしまえば、もう手に入らない。
・雑誌の中の一部の記事だけ読みたいのに、一冊丸ごと購入しなければならない。
・特殊分野の小部数発行の本などは現在の印刷システムでは異常な高価格になる。

両方のシステムの欠点をなくし、長所のみを融合したのが、この提案システムだ



システム概略

●インターネットのWWWなどで出版社が情報を提示する。
各種ニュース、小説、コラム、写真、漫画、etc....現在出版社が扱っている情報すべての目録やサンプル(実際の内容は規定のサイズ内にきれいにデザインされている)。

●読者はパソコンなどを利用し、その情報の中から自分に必要なものをいくつか選択する。すぐに合計何ページで000円になると教えてくれ、OKすれば24時間以内に印刷製本された自分だけの本が、登録された住所に配達される。
料金は月ごとに支払う。


システム詳細

・情報は、すべてページ単位にデザイン(レイアウト)された状態で出版社のデータベースに蓄積(各地に分散しても可)する。

・印刷は、注文した読者に一番近い場所にあるデジタル印刷機が、注文された情報をデータベースから取り寄せ印刷・製本する。このとき本の外側に注文者の配達住所まで自動的に刷込み、プライバシー保護のためビニールパックし配送所へ。

・配送は、新規にシステムを作るとコストが掛かりすぎるので、既存のシステムを利用するのが望ましい。
たとえば新聞配達所と提携すれば、朝夕2回の配本が可能になる。印刷所は印刷された本を1日2回、地域ごとにまとめ新聞配達所へ届ければ、注文から24時間以内に注文者に届く。

・各地の印刷機の設置は、全国津々浦々ムラなく、多いほうが望ましい(後述)。各家庭にプリンタを用意し家庭内で出力するシステムなども提案されてはいるが、各家庭が負担するコストが高くなるし高品位印刷や製本はムリだろう。

・コストを下げるため、半端ページに広告をいれる。(本は最低4ページ単位での製本物なので注文内容によっては白いページが出来てしまう)また、特に広告特集ページを希望すれば、何パーセントかの購読料の割引を行う。広告を全く拒否することも自由(ただし割高になる)。
当然、購読契約時に個人情報を提供して貰い、読者(時には広告主)にとって最適の広告が選択される。

・表紙は、週単位でデザインが何十種類も用意され好きなものを選べる。小説1本丸ごと注文した場合などはその小説専用の表紙デザインになる。

●読者の利点
個人の趣味嗜好で選んだ、自分に必要な情報だけを、欲しい時に、読みやすく馴染んだ、本という形で手に入れられる。
たとえば、仙台に旅行するときに「仙台近辺の旅行ガイド、必要な路線だけの時刻表、スマップのグラビアと対談記事、今週の自分の運勢、話題の恋愛小説の80ページ分だけ」を注文すれば、次の日に自分だけの最新の本1冊を持って旅立てるのだ。

週刊の漫画雑誌にしても、趣味の合わない作家のものは省くこともできるし、売り切れの心配もない。忙しい時は、後でまとめて見たい漫画だけ数ヵ月分の本として注文することも可能だ。

音楽出版社などは有名な曲やヒットした曲の楽譜しか出版していないが、このシステムならあまり売れていない楽曲の譜面なども手に入るようになるし、ギターで弾き易いキーにソフトウエアで移調したものを手に入れることも可能になるだろう。

●出版社の利点
在庫品がなくなる。現在問題になっている、本の再販制度や流通システムもクリアできる。
絶版ということもなくなる。一度制作したものは永遠に保存でき、1年にたった1人の読者でも、汚れのない新品の本を提供出来る。
作家への印税などもコンピュータで管理でき、正確。

●その他
現在の書店をどうするか?(ここを各地域のデジタル印刷所にする)
本の流通業者は?(全国の印刷所〈書店〉に印刷機をレンタル・リースする業務に変更)
紙資源の消費を少なくできる。(必要な情報しか印刷しないから)
全国の印刷機と情報出版元をむすぶ回線は、高速で大量のデータを確実に処理できるものが必要。

この文章は、日本アグファ・ゲバルトがワイアード(WIRED)と協力し開催した、
AGFA HYPER AWARD CONTESTに応募したものです 佐藤 豊

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